蛍は、死んだ人の魂を運ぶと言われている
だから火垂るって書くの――




 

 

   






 アタシは、単身アーリグリフまでやってきていた。一人でアーリグリフに来たのなんて初めてだったさ、でも……アタ シは来なきゃいけなかったんだ。

 いつも一緒にいたアイツは今創造主とやらを倒すためにモーゼル遺跡へと行ってしまっている。

 本当はアイツだって今日はここに来なきゃならなかったんだろう。でも今日のこの用事よりも世界を優先したんだ。当 然だけどね。

 アーリグリフ城に着くとすぐにアイツの部下がアタシを迎え入れてくれた。アイツとの関係、いつから公式になってい たんだい?まあ、アタシとしては好都合だけど。

「グラオさんの墓参りに来たんだけど」

「はっ!今すぐご案内いたします」

 そう、アタシがアーリグリフに来たのはアルベルの父親グラオさんの墓参りのためだ。アーリグリフでは今日が死者の 弔い日に当たるらしい。アルベルは毎年例のあの日と今日は欠かさず墓参りをしていたってウォルター伯爵から聞いてい た。だから今日はアタシがアイツの代わりにね。

 アーリグリフには花なんてほとんど咲かない。イリスの野から摘んできた花だけど、平気かな?

「ネル様、今日団長は……」

 漆黒兵がアタシに言いづらそうに口を開く。

「わかっているよ。アイツは国や家族より優先しなくちゃいけないことがあるんだ、帰ってきたらすぐここに来るだろう から」

 団長は今日国にいませんよ、ってトコロだろう?

 アタシだけでも理解しているつもりなんだ、アイツのことを一番ね。




 



 アーリグリフの共同墓地の片隅にその墓石は置かれていた。土に埋められた棺には中身がなく、ただ彼の存在があった ということだけ伝えていた。

 グラオ・ノックス

 先々代の疾風騎士団長、古代シーフォート王国から伝わる魔剣クリムゾンヘイトを振るうことの出来た唯一の人物…… あの人は、アタシにもよくしてくれたよ。アルベルと仲がいいからっていうわけじゃない、そういう人柄だったんだ。

 アタシは墓前に花を置き、黙祷を捧げる。

 子どもの頃の思い出が次々と浮かんでくる……それは消えることなくアタシの思考を支配していくんだ。

 その中で一つだけ、昔にも、最近にも同じことをしていたことがあった。

「アタシとアルベル、結婚するよ」

 昔はシロツメクサの、最近はアイツが細工で作ってくれた指輪がアタシの左手の薬指に光っている。

「国のみんなに反対されたってアタシは気にしないから。ね、グラオさん、アタシが娘になってもいいよね?」

 もっともアイツが了承したわけじゃないけど、アタシはそのつもりなんだ。

 アタシはこの星の誰よりも、いや、エターナルスフィア中の誰よりもアルベルのことを理解し、愛することができると 誓います。





「ネル・ノックスとアルベル・ゼルファー、どっちがいいと思いますか?」





 それは、そう遠くない未来を予想して…――




fin.






 ネルアルvうん、アルベル出てないしこの続きになるだろう話(構想中)がまるっきしネルアルなのでネルアル(意味 不明じゃん…)ネルさんの結婚宣言やりたかったんだあっ!!
 今お盆でしょ、だからお盆ネタをやらねばと思って。え、そういえば隣のS市はお盆じゃない!!ははは~、うちの地 域はお盆なんです(日記見ればわかるわ)
 ここまでつきあってくださり、ありがとうございました。
 20030813 白水りぃふ


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送